羽をくれた君~side陸~【完】



「だから俺ら心配でさ、奈緒ちゃんち行こうと思ってんだけど」



俺は煙草に火を付けて俯いた。



「・・・おめーらだけで行ってくれば?」


その言葉に2人は驚いた表情をしている。


「な、何言ってんだよ!お前心配じゃねーのか!?」


「・・・別に。俺ら別れっかもしんねーし」


「陸!」


亮が煙草を持ってる俺の右腕を強く掴んだ。

冷めた目で亮を見ると、亮は静かに手の力を弛める。



「わかったよ・・・後悔してもしらねーぞ」



困惑している栞の手を引いてアパートを出ていく亮。


ドアを閉める時、俺にこう言った。



「奈緒ちゃんと一緒にいるお前、心の底から笑ってたよ。俺はそんなお前が好きだったけどな」





・・・亮。


俺も最近気づいたんだよ。


あいつといると楽しくて不思議と心が休まるって。


いつの間にか大事な存在になっていた事も。