羽をくれた君~side陸~【完】



“奈緒ちゃんと今一緒か?”


亮からそんなメールが来たのは数日後の事だった。


奈緒は今日終業式のはずだ。


昼休み中だった俺はパンを片手に“いや、今日仕事”とだけ返信すると電話がかかってきた。



『仕事中にわりーな。なんか栞が今日奈緒ちゃんと遊ぶ約束してたみてーだけど全然連絡とれないんだってよ。携帯電源切ってるらしいし』



「は?まだ学校終わってねーんじゃね?」


『それが終わったとはメールきてたみたいなんだよな・・・まぁもうちょい待ってみろって言ってみるわ』



亮の電話を切った後、奈緒に電話してみたが、電源が入ってないというアナウンスが流れるだけ。



充電切れか・・・?



少し不審に思ったが対して気にはしなかった。





しかしその日、奈緒が帰ってくる事はなかった。


何度か携帯に連絡したが、電源は入っていなかった。


とうとう愛想付かされたのかと思った。


当たり前だな。


あいつは俺なんかの傍にいない方がいい。


その方が幸せになれる。


このまま会わなければこの想いも言わずにすむ。