羽をくれた君~side陸~【完】





「陸さん、今日もどっか行くの・・・?」



あれから奈緒は俺の顔色を窺うように話しかけてくる。


俺はそれに“うん”とか“ああ”とか相槌を打つだけなのに、いくら冷たく素っ気ない態度を取ってもあいつは常にニコニコしていた。

寂しそうな笑顔を俺に向ける。

それが辛かった。


あの日、俺が奈緒を無理やり抱こうとした日。俺は夜中の2時過ぎに帰宅した。

てっきり奈緒は実家に帰ってんだろうって思ってた。

なのにあいつは笑顔で俺を迎えた。何事もなかったかのように。



俺が恐くねーのかよ。

あんな事されてもまだ俺を信用してんのか?

それでも俺を好きだってことか?

なんでキモチぶれねぇんだよ。



ここ数日間で、あいつの俺を想う強さに気付かされた。


俺は



自分がわからなくなっていた。