羽をくれた君~side陸~【完】



やっぱり。

百合の事聞いたんじゃねーか。


・・・ああそうだよ。

俺は百合を忘れることはない。


お前に一瞬でも好意を抱いてるなんて思ったのは気のせいだ。

そんな事は絶対、絶対ありえねんだよ。



口元は笑っているが、目に涙をためている奈緒。



「・・・俺のことに・・・首突っこむな」



もうお遊びは終わりだ。


今回はちょっと長すぎたな。少し変わった女だったから面白かったよ。


もう少し早くからこうしてれば良かった。




抵抗する奈緒を上から押さえつけ、無理やり唇を奪った。


呼吸する間も与えぬほど角度を変えて何度も口づけする。


俺はこういう事を平気でできる、ひどい男なんだよ。


お前とは住む世界が違う。



その時、奈緒の頬に一筋の涙が伝った。

体が尋常じゃないくらいに震えているのがわかった。