「陸、中途半端に付き合ってんなら、許せねーんだよ。
まだお前の中に百合・・」
「だまれっ」
広樹の胸倉を強く掴むと睨みかえしてきやがった。
お互いが微動だにしない状態が続き、やがて俺は広樹を離した。
怯えている奈緒の手を引き、歩きだす。
「おい陸!その子は他の女と違うんだよ!おめーもわかってんだろ!?」
広樹の叫び声は聞こえていたがシカトした。
他の女と違う。
俺だって何度かそう感じた事はあった。
でも俺の中の俺が心にブレーキをかける。
これ以上進まないようにと。
目の前の道を見えなくさせる。
奈緒は抵抗しながらも俺に手を引かれてアパートの中へ入った。
今日めかしこんでいたのは広樹に会うためだったのか。
そう思うとムカついてしょうがない。
こいつに当たってしまいそうだ。



