羽をくれた君~side陸~【完】


亮は前歯が2本折れていて、笑うとなんとも情けない顔をしていた。



「それ差し歯入れるんだろ?」


「もちろんだろー!こんなんで女が寄ってこねーよっ」



ベッドの上で亮がケラケラ笑っている。

笑うと胸に響くのか、亮は笑う時いつも胸に手を当てていた。

顔の腫れもだいぶ引いてきたようだ。



「女って・・・おめぇ栞一筋だろ」


「まぁな~てか陸だってちゃんと真面目に付き合ってんじゃん。奈緒ちゃんいい子だろ?」


「・・・俺さぁ、なんか変なんだよ最近」


「あ?」


「あいつが不安そうにしてるとなんか気になっちまって。こんなん俺らしくねーよな」


笑いながらベッドの横の椅子に座った。

亮はなぜか笑顔だった。



「いいんじゃねそれ。いい変化だよ。そんだけ奈緒ちゃんを思ってるって事だろ?本気で好きなんじゃねーの?」



どきっとした。


俺がマジであいつを?

そういう感情が俺の中にあるって?