羽をくれた君~side陸~【完】



倒れこんでいた軽傷の2人が、それを見て急いで車に乗り込もうとしたので、意識を失くしている4人も連れてけと指示して車に運ばせた。


奴らは逃げるかのようにその場を立ち去る。

辺りは何事もなかったかのように静まり返った。



地面に倒れこんでいる亮はびくともしていないが、少し意識はあるようだった。



「おいてめぇ!亮!起きやがれ!」


顔を2発軽く叩くと、左の口角がかすかに上がった。



「・・・り・・・くっわりぃ・・・な・・・」


あばらがやられてるのか、呼吸が苦しそうだった。

足も変な方向に曲がっている。


俺は急いで救急車を呼んだ。




奈緒に電話するとワンコールで出た。


寝ないで待ってたんだろうな。


亮の事を伝えると、奈緒の声が震えだし、かなり動揺しているようだった。



こんな喧嘩ごときに動揺されちゃーこの世界やってけねーだろうよ。


あいつはどんな覚悟で俺の女になったんだか。



亮が運ばれた久米の総合病院まで俺は単車を飛ばした。