華-ハナ-

「絢華ちゃん!?どうした!?真っ青じゃん!」



真っ青?



「失礼ですけど、何か言ったんですか?」



店長が目の前の男性に聞くと……



「人を尋ねただけなんですけど」


「人?」


「はい。……須藤華という女性を探しています」


「須藤?」



そう言った店長があたしを見た。



「絢華ちゃん、知ってるの?」



店長はあたしの旧姓が須藤だって知ってるから、心配そうに聞いてくる。



「……」



でも……


頭の中がパニックで……


声にならない。



「とりあえず、ここじゃなんだから奥に行くか?」



店長の言葉に頷く。


店長が途中だったレジ打ちをしてくれて……


そのあとは、その男性と一緒に奥の休憩室へ入った。


男性と向かい合って座って……



「川越といいます」



そう言って、その男性は名刺を手渡してきた。