そのまま視線をそらすことができずにいると、川越さんがその笑みを崩すことなく、口を開いた。



「絢華ちゃんが幸せに過ごしてこれて良かった。もちろん、親がいないことで、辛い思いもたくさんあったんだろうけど」



確かに……、あった。


父の日や母の日とか、授業参観とか……


でも、それらはすべて、おばあちゃんがやってくれた。


おばあちゃんが、お父さんの代わりもお母さんの代わりもやってくれたんだ。



それに、優太と結婚してからは、優太がその代わりをやってくれていた。



そして今は――…


舜がいるから、寂しくない。



ゆっくりと、隣を見上げる。


その視線に気付いたのか……



「ん?」



舜がこっちを見て、やさしく微笑みながら、眉を少し上げる。


その表情に、トクンと胸が高鳴る。