華-ハナ-

「川越さん。あたしはお母さんと、……会ったことがないんです」


「えっ」



聞こえるか聞こえないかわからないくらいに、小さな声を発した川越さん。


その目は、大きく見開かれていて……


瞳が、揺れている。



「……あたしの命と引き換えに、……亡くなったんです」



そう言った瞬間、まるで涙腺が崩壊してしまったように、ぽろぽろと涙が溢れてきた。


隣にいる舜がやさしく肩を抱いて引き寄せてくれる。


その温もりに、またさらに涙が溢れる。


恐る恐る視線だけを川越さんに移すと、お母さんの遺影をジッと真っ直ぐに見ていた。



「華は、結婚してたの?」



こちらをゆっくりと振り返りながら、川越さんは口を開く。



「え」