「太一さんって、優太の親のことで何か聞いたことはある?」


「は?」



俯きながら手を合わせていた太一さんは、勢いよく顔をあげた。



「突然どうしたんだよ?」


「うん。もしかしたら、あたしのお父さんが見つかるかもしれない」


「え、マジッ!?」



太一さんが、身を乗り出してきた。


太一さんは、あたしに親がいないことは知ってる。


シングルマザーだったお母さんが亡くなってる、という事実は知ってる。


あたしを産んだから……ってことは知らないけど。



「うん。そしたら、優太の親のことも気になり始めちゃって。……でもあたし、優太からはそんな話聞いたこともないし、……ていうか、話したがらなかったし。でももしかしたら、太一さんには話してるのかもって」