「なあ絢華、明日川越さんのとこへ行かなくていいのか?」



川越さんのところ……



「うん、いい。きっと会いに行ったら、川越さんは仕事中でも話を聞いてくれそうだけど……、でも、そういう話はゆっくり話したい……お母さんの前で」


「そうだな。その方がいいな」



そう言って舜は、あたしの肩を抱いて引き寄せた。


あたしも舜の肩に頭を預けて、目を閉じた。






それからのあたしの頭の中は……



“川越さんがお父さんかもしれない”



という考えばかりが支配した。



旅行中はもちろん、家に帰ってからも、そのことばかり考えちゃって……


仕事は初歩的なミスを連発するし……


家でもご飯を炊き忘れたり、圭介のお迎え時間を間違えたり……


どこか上の空だった。