華-ハナ-

「おしっ、できた」


「ふふ、さすがだね」



目的地に向かって走り始めた車内の後部座席で、圭介がまたウトウトとし始めて……


動物園で、迷子になりそうなほどあちこち動き回っていたから、疲れたんだろうな。


てか……


あたしも眠い。



昨夜は――…


川越さんと会うんだと思ったら、ほとんど眠れなかった。


最初はどんな言葉で話しかけよう……


とか、


どんな表情で会えばいいんだろう……


とか、


どのタイミングで、お母さんのことを話そう……


とか。



何度か話したことはあっても、一番伝えなければならない、“お母さんが亡くなった”という事実を話していないからか、


変に身構えてしまう。