・・・

しかも、ありえないことに、

・・・

私は冷たくなった巧の顔を、

抱きしめてしまっていた。

・・・

ビクッとなった巧に、

ハッと我に返った私は、

咄嗟に、巧から離れた。

・・・

しかし、

巧は、

私の腕を引っ張り、

力任せに抱きしめた。

・・・

「く、苦しいですよ。

離してください・・・」


「…なぜだ」


「・・・え?」


「なぜ、オレを抱きしめた?

そんな資格、オレにはないのに」

「・・・そんなの、

私もわかりません」