呆然と立ち尽くす私の横を、

相手の女性が走り去った。

・・・

「お疲れ様」

・・・

その声、私は知ってる。

・・・

ハッと我に返った私が、

その人の顔を確認した。

・・・

華蓮さん。

私の尊敬し、憧れの人。

・・・

ねぇ・・・なんで?

・・・

「巧が、

そんな最低な男だと思わなかったな。

夏樹が可哀相だ」

捨て台詞をはいた宗次さんは、

私の手を強引に引きずって、

会社を後にした。

・・・

巧は、

私に何も言わない。