君と本気のラブゲーム


「岬は相変わらずだな」


ひょこ、と時折歩きにくそうにしながらも隣を歩く樫野くんが、苦笑交じりにそう言った。



幸い、保健室は私たちのクラスの使用している大教室と同じ1階にあったため、ただまっすぐ廊下を進むだけでたどり着くことができる。


とはいっても、1階の多くの教室が文化祭に使用されるため人通りは多く、またさまざまな備品が廊下に置かれており、怪我人の樫野くんにとって決して優しい道のりとは言えなかったが。



「相変わらずって?」


さっきはネーミングセンスだったけど…。


このタイミングでそれは無いよね?



「責任感、強すぎ」


「……そ?」


この場合、私の行動は責任感ゆえではなく、樫野くんを怪我させてしまった、という、罪悪感があるからなんだけどな。


「ん。マネージャーやってるときも、人一倍責任感強い奴だなって思ってたよ」


「そうかなぁ…」



私、結構テキトーなとこあると思うけど…。



「そう。いつも、部活の後いちばん最後まで残って部室の鍵返すの、岬だっただろ」


「……よく見てるね」



私の他にもマネージャーは何人かいたけど、なぜか練習が終わって最後に残るのはいつも私で、いつの間にか鍵返却係みたいになってたんだよね。


そんなことに気づいてる部員なんかいないと思ってたけど…。


他のマネージャーのみんなにしたって、自分じゃない誰かが返してるんだろうな、くらいにしか思っていないと思う。



「……」


……なんか。


……照れるんですけど。