指定された駅に着いた私は、京佑くんのそんな理不尽な言葉に出迎えられた。
壁に寄り掛かって、ケータイをいじって、っていうのは昨日と同じなのに、不機嫌な表情と投げやりな言葉は、彼の印象をがらりと変える。
爽やかさなんてカケラも感じられない、傲慢な雰囲気。
「……突然呼び出しといて、何、その言い草」
改札を出た私に最早自分から近づこうとすらしない。
……昨日は、あんな嬉しそうな顔して近付いてきたくせに。
今の京佑くんは、おまえが来い、って言ってるのが、声にしなくても分かる。
そう言ってるのが、表情に、雰囲気に、滲み出てる。
なんだか癪だったけど、私から京佑くんの隣に行った。
「そんなこと言って。本当は会いたかったんじゃないの?」
どの口がそんなことを言うのか。
「別に」
「可愛くない」
「悪かったね」
京佑くんは苦笑して、そして、ひとつ息を吐いた。
「……今から時間、ある?」
真顔になった京佑くんに私は少しだけ戸惑いながらも、腕時計を確認する。
19時になるところ。
ていうか時間あるかどうかなんて、呼びだすときに確認することでしょうが。
そう思ったけれど、言葉にはせず、私は頷いた。
「別に、大丈夫」
門限は特にない。そりゃ常識外の時間に帰れば怒られるだろうけど。
両親は共働きで、諒兄が家にいる日は日付を越えて帰宅してくるのが常だ。
だから今日も大丈夫だろう。