「……で、そんな諒兄が毎日毎日自室にこもって何をしているのかと言いますと」


私はそこで言葉を切って、無駄に勿体付けてみた。

嘉乃はわざわざごくり、と息を呑む仕草までして私のテンションに付き合ってくれている。


今、私と嘉乃は学校から歩いて5分という私の家にいる。

いきなり諒兄に会わせるのもあれなので、私の部屋でささやかながら、諒兄の取り扱い注意点について、説明中。


「うん」

「……さっきも言ったけど、諒兄の趣味は読書とゲーム。だったんだけど、それは昔の話。今はゲーム一択。しかも、RPGとかシュミレーションゲームとか、そんなんに浮気なんかせずに戦闘系ゲーム一筋」


「ふえー…」


嘉乃のその相槌は一体どういう感情を表しているのかはよくわかんないけど…。

とにかく、諒兄のゲームオタクっぷりは、妹の私から見ても異常。


なんでインドアの諒兄が自分からバイトなんてしてるのかっていうのも、ゲームを買う費用に充てるためだ。


「ぶれないねぇ」


「ぶれません。むしろぶれてほしいけど。ていうか諒兄友達とかいなそうだし、嘉乃、まずは友達になるのが大変だと思うよ」


「ほー」


さっきから、なんか心配になる相槌ばっかなんだけど…。


大丈夫?


ちゃんとやる気、ある?



「……じゃあ、諒兄の部屋行こうか」


一抹の不安を覚えながらも、私は嘉乃が頷いたのを見て、立ち上がった。