……岬諒太郎(みさき りょうたろう)。
地元の国立大学の2年生で、現在20歳。
専攻は電気電子なんたらで、半導体がどうたらっていう、根っからの文系の私には理解不能な研究をしているらしい。
サークルや部活動には所属しておらず、バイトのない日は講義が終われば即帰宅して自室にこもっている。
岬家はどうやら男に生まれると容姿に恵まれるらしく、身内の贔屓目なしに、見た目だけは良い。
黒というよりは茶色、という印象の長めの髪は、染めたのではなくもともと色素が薄いから。
つり目がちの涼しげな目元は、ただキツい、というより誰にも媚びない強さ、みたいなものがあらわれてる感じ。
身長も、昔からインドアだったくせに178センチとなかなかの長身。
物心ついたころから読書やゲームが好きで目を酷使してきたためか、家族で唯一視力が悪く、いつもメガネをかけている。
そのメガネも、外見に何のこだわりもない諒兄に選ばせると大変なので、変えるときはいつも家族の誰かが代わりに選んでいる。
大学へ行くときも、服装が適当過ぎて、服飾系の科にいる私としてはつっこみどころ満載である。
最近は選ぶことすら面倒になったのか、白シャツにジーンズ、寒くなってきたらジャケットやコートを羽織る、という格好しかしない。
我が兄ながら、それはどうなの?っていう感じだ。
……まあ、元がいいから結局似合ってるし、むしろ爽やかさすら感じる始末なんですけどね。


