「すごいね!全然いいよ!もっと言えばいいよ!言われて当然なんだから。大丈夫、アヤはなんも悪くない。失礼な態度とったのはキョウなんだから」
うんうん、と激しく頷きながら嘉乃はそう言った。
……まさか、そんな反応されるとは。
「でも、ほら、傷付けちゃったかなって…」
「ううん、そんな感じじゃなかったよ。怒ってもなかったし。どちらかというと、なんか考え込んでたかな。…ほら、キョウって今まで女の子に困ったことないから、拒絶されて新鮮だったんじゃない?」
嘉乃も、私の前の自分の席に座りながらそう言う。
……なに、その若干のM疑惑。
「それか、あれだね。今まで本心で他人と向き合ったことなんかなかったから、どうしたらいいのかわからなくなってるんだよ」
「あー、なるほど」
たしかに、それなら納得できる。
今まで、きっとあの完璧な笑顔で、優しい言葉と態度で接していれば女の子なんて簡単に落とせるって思ってたんだろうし。
だからこそ、昨日私に対してもあんな態度だったんだろうし。
「…ううん。でも、ちゃんと謝るよ。言いすぎたのは確かだし」
「え!?ダメダメ!!いいんだよ、悩ませとけば!今まで散々罪のない女の子を泣かせてきたんだから、もっと苦しめばいいんだよ。むしろ全然足りないって」
京佑くん、すごい言われよう。
でも、きっと嘉乃はずっと京佑くんに泣かされてきたっていう女の子たちを近くで見て来たんだろうから、こんな感情的になっちゃうのも仕方ないか。


