「……私は、そんな、偽物の、心のこもってない笑顔しか、何の重みもない薄っぺらい言葉しかくれない今のあんたに、何の魅力も感じない。むしろ、不愉快」
そう言葉を投げると、京佑くんは驚いたように目を見開いて。
そして少ししてから、眉を顰めた。
「今日、あんたが一緒にいたのは誰?あんたは一体誰を見てるの?それとも私のこと、その他大勢だとでも思ってる?」
「……」
「私は、ちゃんと嘉乃に聞いたよ。清楚な子が好きなんでしょ?まぁ、残念ながら私はそんなタイプじゃないわけだけど。……でも、私は私なりに、ちゃんとあんたと向き合おうって思ってる」
私だって、今日のデートで京佑くんを落とすために何かしたわけじゃないから偉そうなことは言えないけど、少なくとも私はちゃんと向き合っていたつもりだ。
京佑くんと。
「……たかがゲームだけど、そっちが無理やり了承させたんだから。せめて、私を不愉快にさせるような嘘はやめて」
私の言葉に、京佑くんは最後まで何も言わなかった。
私がひとり駅の方に歩き出しても止めようとはしなかったし、追ってこようともしなかった。
ただ、どうしたらいいのかわからずに、まるで、迷子になった子供のように。
険しい顔をしたまま、立ち尽くしていた。


