ていうか今さらだけど、今日のデートって、京佑くんは私を落とそうっていうゲームのためにやってるんだよね?
ていうことは、こいつはこんなことを続けていけば私が自分を好きになるって思ってるってこと?
こんな。
こんな、偽物で。
「……ちょっと、こっち来て」
私は京佑くんの腕を掴んで、他の人の邪魔にならないように建物の脇に移動した。
「何?こんなとこ…」
「ちょっと訊きたいんだけど」
私がそう言うと、京佑くんはふわりと笑って「何?」と言った。
また、そんな笑顔。
本当は、言いたくない。
ていうか、言わないつもりだった。
……でも、無理だ。
「あんたは、今日みたいなことをずっと続けていくつもりなの?」
「今日みたいなことって?」
本気で分からない、というように首を傾げた京佑くん。
「あんた、私を落とすために今日私を誘ったんだよね?」
「……うん、そうだよ」
「じゃあ、言っとくけど」
ああ、やっぱりこいつは何にもわかってない。
ここで言わなきゃ、私はこれからずっとこんな不愉快な気持ちを抱えたまま接していかなきゃならないんだ。


