君と本気のラブゲーム



……なんてやつ。


私は思わずため息を吐いた。


どうせ、振りほどいたってまた同じようにちょっかいかけてくるに違いない。


それならこのままの方が周りの人にも迷惑かけずに済む。


他人の身じろぎって結構気になるもんね。


特に、前の席の人のとか。




京佑くんは、結局映画が終わるまで私の指を離そうとはしなかった。


なんで手じゃなくて指?なんて思ったら。


あのとき私は違うことを考えようと必死だったため気付かなかったが、あとから考えたら丁度あの時は主人公2人が、また会おうね的なセリフと共に指きりをするシーンだったはずで、もしかしたらそんな雰囲気に合わせてみたのかも知れない、と思った。


キザ野郎め!



「いやー、感動したね!」


「本当にそう思ってるの?」


映画館を出て、うーん、と伸びをしながら言った京佑くんに、私は疑わし気な視線を向けた。

あんな、からかうような真似してきたくせに。


「どうしてそんなこと言うの」

「だって、いきなり触ってくるから。集中してなかったのかなって思って」

「……ごめん、嫌だった?」


申し訳なさそうな顔をする京佑くん。


…もうその手には乗らないんだから!