『きみと夢のさき』
それが、この映画の題名。
絵を描くのが好きな男の子と、声を出すことのできない女の子の話。
私が初めて見たのはまだ中学生のころだったんだけど、たくさんの優しさに溢れたこの映画が大好きになった。
それに、主人公のふたりが高校生っていう設定だったのもあって、歳が近い今だからこそ感じられるものがあった。
初めて見たときは知らなかった、いろんな痛みとか。
現実の厳しさとか。
人の温かさとか。
前に見たときよりもずっとリアルに、胸に迫るものがあった。
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男の子が、夢を叶えるために外国へ行くことになった、別れのシーン。
『すきだよ』
声にならなくても、
伝わらないって、
届かないって分かっていても、
『ずっと、だいすきだよ。きみがどこにいたって、きみの幸せを願うから』
大好きな男の子に想いを叫ぶ女の子の涙に、私まで泣きそうになった。
『だから。私がいるっていうこと、忘れないで。失敗しても、落ち込んでも、きみの幸せを願ってる人がいるってこと、きみを全部受け入れてあげたいって思ってる人がいるってこと』
女の子は、きゅ、っと、男の子の手を握って、泣きそうな顔で、笑うんだ。
『どうか、忘れないで』
その言葉に。
届いていないはずの、言葉に。
男の子は涙を浮かべて、『うん』って、頷く。


