君と本気のラブゲーム





10年ほど前の作品のリバイバル上映だったが、席は思ったより埋まっていた。

私と京佑くんは後ろの方の席に並んで腰かける。


恋愛もののせいか、他のお客さんは女同士かもしくは私たちと同じように男女で来ている人が多かった。

……いや、まあ男女でっていうか、きっと私たち以外の男女の方々は間違いなく恋人同士なんだろうけど。


「俺ポップコーン買ったから、食べたかったら食べてね」


私と京佑くんの間にある、食べ物やドリンクを置く台にポップコーンを置きながら、京佑くんはそう言って笑う。


「たぶん食べないけど、ありがとう」

「……どこまでも可愛くない」

「……今、本音出た?」


明らかに声のトーン低かったんですけど…。


「え?なんのこと?」


不思議そうな顔で首を傾げ、私を見る京佑くん。

むかつくわー。


「……まあ、いいけどさ」


「あ、もう始まるみたいだよ」


京佑くんの言葉が終わらないうちに会場の明るさが落ちていき、真っ暗闇が訪れた。


ぱっとスクリーンが明るくなり、本編前の宣伝が始まる。