「頑張って!」
嘉乃のエールを背中に受けて、私は荷物をまとめ、コートを着て教室を出た。
「綺深!」
昇降口で名前を呼ばれ振り返ると、美都と樫野くんがいた。
ふたりとも部室に向かう途中なのだろう。
これから野球部でも3年生を送るために軽い追い出しコンパがあるって言ってたし。
「部室、行かないの?」
「ごめん、私、行けなくなって」
「……最後だぞ?」
学生生活のほとんどを、このふたりと一緒に過ごした。
大切で、かけがえのない、仲間。
……でも。
「……ごめんね。すっごく大事な用事なんだ」
そう言うと、ふたりはさびしそうな顔で笑って、「そっか」と頷いてくれた。


