君と本気のラブゲーム


……ていうか。

駅で待ち合わせて、ここまで来る間もなんとなく感じてはいたけど。


……京佑くん、めっちゃ見られてますよね…。


特に、高校生の女の子のグループなんか、彼を見てキャーキャー言っている。

隠れてやってるつもりなのかもしれないけど、すごい、バレバレ。

私が気付いているんだから、京佑くんだって気付いてるよね。

少なくとも、彼は周りの視線に対して鈍感な方ではないと思うし。



「……」


私は、思わずため息をついていた。

これじゃ、立派なナルシストに成長するわけだ。


「おまたせ」


にっこり笑って、私にオレンジジュースを差し出してくる京佑くん。


これ、もしかして私だけじゃなくて周りの女の子に向けた笑顔でもあったりするのかな?


そんで、キャーキャー言ってる子たちを見て楽しんでたりする?


……なんて、考えすぎかな。


「ありがと。はい、200円」

私はジュースを受け取って、もう片方の手で用意していた小銭渡す。

京佑くんは一瞬驚いたように私の手を見ていたけど、やがて、

「うわ、抜け目ないねー」

と言って笑い、小銭を受け取った。


そのとき、館内アナウンスが、私たちの持っているチケットに書かれた3番館の開場を知らせた。


「もう入れるみたい。行こう」


そのアナウンスを聞いて京佑くんはそう言うと、私の少し前を歩き出した。