「これ、見せるために?」
私が空を見上げたままきくと、隣で頷く気配がした。
「それだけじゃ、ないけど」
「え?」
呟きと言っていい小さな声を聞きとれず、聞き返す。
しかし「なんでもない」とはぐらかされてしまった。
しばらく、ふたりで空を見上げて。
ふと、まだバレンタインのチョコレートを渡していないことに気付いた。
今日はこのために会ってるのに!
忘れてるとか、自分しっかり!
私は鞄を開けて、頑張って作ったブラウニーを差し出した。
「はい」
「……バレンタインの?」
うん、と頷くと、京佑くんは「ありがとう」と笑って、受け取ってくれた。


