なんだったの、と思う間もなくノックも無しに嘉乃の部屋のドアが開いた。
ケータイ片手に立っていたのは京佑くん。
「来てたんだ」
「うん。ていうか無言電話しないでよ」
「や、だって着信聞こえたし。いるなら電話する意味ないでしょ」
「まぁそうだけど…」
「……行ける?」
「あ、うん。…嘉乃、じゃあ、行くね。本当、おめでとう」
私はバッグを持って立ち上がりつつ言った。
すると、嘉乃はにっこり笑う。
「ありがとー。楽しんできてね」
玄関まで嘉乃が見送りに来てくれた。
結月さんもわざわざ居間から出てきて、にこやかに送り出してくれる。
ふたりに見送られて、私と京佑くんは外に出た。
「え、雪?」
来たときは降ってなかったのに、ちらちらと細かい雪が舞っていた。


