嘉乃の言葉に、私は曖昧に笑う。
確かに、会ってる。
京佑くんのバイトが入ってない日は必ずと言っていいほど。
……でも。
「別に、ただの友達って感じ?」
「えー?」
不満げにティーカップに手を伸ばした嘉乃。
一口、紅茶を飲んでから、「嘘でしょ?」と眉を寄せた。
「嘘じゃないって」
「キョウは、ただの友達に自分の時間をそこまで割かないと思うんだけど」
「そう言われても…」
昨日も、会ったよ。
でも。
本当に、何もなかった。
ただ、学校帰りに待ち合わせして。
駅の近くのファーストフード店に入って。
ポテトをつまみながら1時間くらい喋って。
そのあと京佑くんが本屋に寄りたいっていうから、近くの大きな本屋に寄って、また1時間くらいぶらぶらして。
……で、終了。
手はいつも通り繋いだけど、それ以上のことは何もない。


