気が付けばもう街中はクリスマス仕様のキラキラした飾り付けで彩られるような時期になっていた。


私も嘉乃も、制服の上にコートを羽織ってマフラーを巻いて、防寒はばっちりだ。



あ、もちろん今は店内だから制服のままだけど。



「もうすぐクリスマスだねぇ」



ぽつりと、嘉乃が呟いた。


街中クリスマス一色なのと同じように、この喫茶店だって、店内はクリスマスムードだ。


控えめに流れているBGMも、どこかで聴いたことのあるクリスマスソング。



「嘉乃は、どうするの?」



なんとなしにそう訊くと、嘉乃は小さくため息を吐いた。



「クリスマスと言えば、言わずと知れた恋人の日でしょ?だから諒太郎さんと一緒にすごしたかったんだけど」


「諒兄、バイトがっつり入れてたよね」