合宿を終え、帰って来てからも、樫野くんは本当に今まで通り友達として接してくれた。


私はそれがありがたかったし、そのおかげでクラスメイトも何も気が付いていないようだった。


私から、嘉乃には事の経緯を簡単には説明したけど、嘉乃は「そっか」と頷いただけだった。


深くは聞いてこなかった嘉乃に感謝だ。


きっと、私からそういうオーラが出ていたのだと思うけど。


それでも、嘉乃の心遣いは嬉しかった。








「あ、これ期間限定だって!頼まない?」


「何?…わ、美味しそう」



じゃあこれお願いします、とウェイターさんに注文する。



今は下校途中で、嘉乃と一緒に喫茶店にいる。



そういえば、ふたりで寄り道って久しぶりかもしれない。


嘉乃は諒兄、私は京佑くんと過ごすことが多かったから。