「……うん…」
「そっか。……分かった」
「…好きって言ってくれて、ありがとう。嬉しかった」
「……頑張れ、なんて言ってやれるほど俺はできた人間じゃねーけど。でも、岬が幸せならそれでいいとも思ってるから」
その言葉で、じわりと堪え切れずに涙がにじんだ。
「……なんでお前が泣くんだよ」
「だって…。樫野くんが変にいいこと言うからー!」
「変にってなんだ、変にって」
樫野くんは、呆れたように、笑った。
「……じゃ、俺行くわ。気まずいかもしんないけど、友達として今までみたいに接してくれると嬉しいんだけど」
「いいの…?」
「いいに決まってんだろ。返事、してくれてありがとな。…じゃ」
そう言って歩き出した樫野くんを、私は思わず呼びとめていた。


