夜中なのも忘れて叫ぶ。


なんていう自信なの?


こんなナルシスト野郎、生まれて初めて出会ったよ!ていうかできれば出会いたくなかったよ!


「……じゃあ、ゲームしない?」


「はあ?」


ポスっと椅子に座って、京佑くんは楽しそうな顔でそう言ってきた。

ゲームって…。

何なの?姉弟そろってゲームがお好きですね!


「ルールは簡単。どっちが先に相手を落とせるかっていうゲーム。先に相手を好きになった方が負け」


「そ、そんなのやるわけないでしょ!」


それじゃ私が勝つためには本当にこいつを落とさなきゃならなくなる。

私がこいつを好きにならない自信はあるけど、残念ながら好きにさせる方の自信は全く無い。


「ふうん?やっぱり自信ないんだ?俺のこと好きになっちゃいそうで怖いんでしょ」

「ふ、ふざけないでよ!自信あるに決まってんでしょ!天地がひっくり返ったって私があんたを好きになるなんてありえない!」

「じゃあ、いいじゃん。決まり。負けた方はひとつだけ相手の言うことを何でも聞くってことで」


話は決まった、というように満足げに頷いて、京佑くんは笑った。


……ああ、そうか。

同じ綺麗な笑顔でも、こいつのお母さんのそれの方が好きだと思ったのは。

こいつの笑顔は偽物の、心なんて一切こもって無い笑顔だったからだ。


「って、ちょっと待ってよ!私やるなんて一言も言ってない」

「うるさいな。どうせ嘉乃と同じようなこと企んでんでしょ。ならこっちがわざわざ協力してやろうって言ってんの。ありがたくゲームに乗っとけばいいんだよ」

うわ、やっぱり嘘吐いてたのばれてたんだ…。

「いいじゃん。どっちかが好きになったらそれで終われるんだから。別に、それより後のことまでおまえを縛ったりしないよ」


えー…。

なんか果てしなく勝算がないんですけど…。

いや、負けるとも思わないからずっと決着がつかないような…。