「……綺深は、あの人のことが好きなんだよね」 「……」 あまりに落ち着いた声で言うから、なんだか、また泣きたくなって。 私は何も、言えなかった。 「嘉乃ちゃんの、弟さんだよね」 「うん…」 「じゃあ、嘉乃ちゃんにはもしかして言いにくい?」 小さく、頷いた。 すると、美都は優しく、そっか、と微笑んでくれた。