「……さっきの人、彼女なの?」


「違うよ?えーっとね、大学生って言ってたかな?別に好きじゃないし、それはむこうも同じだと思う」


「……サイッテー」


私が呟くように言い捨てた言葉に、京佑くんは眉をひそめて首を傾げた。


「何が最低なの?利害が一致してるんだからいいじゃない。それに、俺は自分から誘うなんて一度もしたこと無いよ。あっちがしたいって言うから自分の部屋を提供してるだけ」


……嘉乃。

疑ってごめん。


「女なんてみんな一緒でしょ?勝手に俺に寄ってきて、勝手に好きになって」


こいつ、性格悪いとかそんな程度じゃない。


腐ってる。


「岬さんだって、さっきまでは俺のことちょっといいなくらいには思ってたんじゃないの?」


「ふざっけんなこの最低ナルシスト野郎。私はあんたになんかなびいてないし、これからなにがあったって好きになるなんて絶対ありえないから」


「ははっ、まあこっちだっておまえみたいな気性荒くて口の悪い女、願い下げだけどね」


うわっ!

最早私『おまえ』って呼ばれちゃってるよ!

ていうか、口悪いのはどっちよ!?

この人、あんな綺麗な笑顔の裏ではこんなこと考えてたの!?


「ホント最低!!」


「そう?でも俺、今は最低って思われてても、おまえのこと落とす自信あるよ?さっきも言ったけど、女なんてみんな一緒なんだから」


「…私ももう一回言うけど、私は何があったってあんたのことを好きになるなんてありえないから!!」