「部屋じゃ、話しにくいよね?」
「…うん……」
嘉乃には、聞かれたくなかった。
こんなときに頼らないなんて親友失格かもしれないけど、今はまだ、言えない。
「じゃあ、どうしよっか…。あ」
美都は何かを思いついたように呟いて。
「橋本先生!」
なぜか、ロビーでひとりくつろいでいた地学のおじいちゃん先生、橋本先生を呼んだ。
「どうしたー」
こちらにくるでもなく、先生は声を返してくる。
「せっかくなので、友達にも屋上から星を見せてあげたいんですけど!」
「あー。それは、大事だな!ここは観測にはもってこいだからな。よし、行ってこい。ただし、20分に限る!」
「ありがとうございます!」
どうやら、先程も美都は橋本先生に頼んで屋上に上がる許可をもらっていたようだ。
地学の先生だけあって、橋本先生も天文、好きだから。


