暗闇に近い、オレンジ色の明かり。
それがいっそう艶めいた雰囲気に見えた。
そんな中、布団の上に座っていたのは、上半身下着姿の女の人…。
嘉乃は浴衣にベッド、というなんともアンバランスな組み合わせだったが、京佑くんの部屋は洋間だが布団、という方のアンバランスさ。
「……分かったわ、今日は帰る。今度必ず、よ」
「もちろん」
京佑くんが頷いたのを見て、女の人は納得したのか布団の上に散らばっていた服を身に付け、全て着終わると、カラカラと窓を開けた。
京佑くんはその女の人に近づいていって、そして何でもないことのように唇に軽くキスを落とす。
「ごめんね。また連絡するから」
「ん。じゃあね」
そう言って、女の人は窓から出ていった。
「……さて」
女の人が出ていった窓を閉め、カーテンを閉めて、京佑くんは私の方を見てにっこり笑った。
「どうする?」
「……どうするって何よ」
「だから、これからどうする?って聞いてるんだけど。岬さんのために、追い出してあげたけど?」
言ってる意味がわかんない。
「とりあえず、そこ開けっ放しじゃヒロやカナが起きるから、部屋入ってドア閉めてくれる?」
私は廊下の電気を消し、言われた通り部屋に入ってドアを閉めた。
そしてついでにドアの隣についていた部屋の電気のスイッチをおしていちばん明るい明るさにしてやる。
「あれ、なに?せっかくの雰囲気が台無しじゃん」
「雰囲気?何言ってんのよ」
「せっかく、岬さんにもいいことしてあげようと思ったのに」
はあ!?
こいつ、何を言ってる!?
「…まさかとは思うけど、自分の部屋に女の人連れ込むとか、いつもこんなことしてるの?」
「そうだけど?」
しれっと言い放った京佑くんに、私は絶句するしかなかった。
「だって部屋が1階にあって、庭のまわりは高い塀。親の部屋は離れてるし、気付かれる可能性があるのは、気付かれたとしても害のない姉妹だけだし。こんな条件なら、連れ込むしかないでしょ?」
もういちど言おう。
……こいつ、何を言ってる!?


