部屋に戻って勉強道具を仕舞い、食堂に向かう。
飛び上がるくらい美味しいご飯なはずなのに、私は心ここにあらずな状態だった。
だって、同じ場所に京佑くんがいるんだよ?
目が勝手に探しちゃうに決まってるじゃん…。
……ねぇ、京佑くん。
問題、解けたよ。
教えてもらったとこ、できたよ。
……そう言ったら、褒めてくれる?
「ごちそうさま」
かちゃ、と箸を置く。
……なーんてね。
あの京佑くんが褒めてくれるなんて、想像できない。
しかも、きっと彼からしたら簡単すぎるような問題だ。
「アヤ、珍しく食べ終わるの私より遅かったね」
「……え?」
嘉乃の声にハッとする。
見ると、確かに嘉乃の食器の上には綺麗に何も残っていなかった。
……私、相当ぼーっとしてましたね…。


