「……綺深」
ぱち、と目が合って、その人は少し驚いたような顔で私の名前を呼んだ。
「……京佑くん…」
ぽつり、と口からこぼれ落ちた名前。
……どうしてだろう。
姿を見ただけなのに、こんなにも泣きたい気持ちになるのは。
「……久しぶり」
「……うん」
なぜか恥ずかしくなって、私はもう目も合わせられないまま、頷いた。
「おい京佑、早く進めよ…、って誰この美少女!?」
京佑くんの後ろからひょっこり男子生徒があらわれてそう言う。
友達、かな?
「え?あー、姉?ごめん、立ち止まって。…じゃあね」
あっさりそう言うと、京佑くんはすたすたと歩き出した。
「お姉様!?できたら連絡先とか…って待てよ京佑!!」
慌てたようにお友達は京佑くんの後を追っていった。


