……んだけど。
慣れない布団のせいか、なかなか寝付けずに私は何度目かの寝返りを打った。
おかしいな…。
私寝付きいい方だと思ってたんだけど…。
「……」
枕元に置いておいたケータイで時間を確認すると、2時になるところだった。
私はひとつ息をついて閉じていた目を開け、身体を起こした。
特に行きたいわけじゃないけど。
このままひたすら寝っ転がっていても一向に眠気はやって来なさそうだ。
そう思って、私はお手洗いに立った。
嘉乃を起こさないように、なるべく音を立てずにドアを開ける。
当然廊下は真っ暗で、その廊下の端にあるお手洗いに向かう。
「……ん?」
私は小さく首を傾げた。
真っ暗な廊下。
だけど、隣の部屋のドアからかすかに明かりが漏れている。
明るい電気、ではなく明るさを絞った、オレンジ色の明かり。
完全に扉が閉まっていないらしく、かすかな物音まで廊下に聞こえてきた。
……京佑くんの部屋だ。
これって、ドア開いてるよって教えた方がいいんだろうか…。
考えを巡らせているうちにも、部屋の中からは物音が聞こえる。
……ん?物音?
違う。
これ。
……誰かの声だ。


