あとで嘉乃にそのことを訊いたら、「え?諒太郎さんってわりと笑うよね?」と返されて。
そんなことないと思うよ!!
と全力で否定した。
なんか…。
諒兄と嘉乃が本当に付き合う日、そう遠くない気がするわ…。
「……き、岬!」
「ほ!?」
ぼーっとして下駄箱で靴をはきかえようとしていたら、不意に横から呼ばれてびっくりして振り返る。
……我ながら、ほ、って何…。
「なんだ、かしかしか」
私を呼んだ声の主は、樫野くんだった。
「かしかしって呼ぶんじゃねーよ。…これ、忘れもん」
「え」
ずい、と押しつけられるように何かを渡された。
が、それがなんなのか確かめる前に、樫野くんは自分の靴箱からスニーカーを出して素早く履き替えて。
「じゃーな」
とさっさと帰って行ってしまった。


