「ここだから…。送ってくれてありがとう」


「ん」


柔らかく笑って、京佑くんは、ポン、と私の頭に軽く手を置いて。



「じゃ、またね」



と言うと、ひら、と一度だけ手を振って、来た道を戻り始めた。



「お、おやすみっ!」



背中に向けて、呼びかける。



「おやすみー。勉強ちゃんとしなよー」



顔だけ振り返って、京佑くんはそう返してくれた。



勉強…。


そうだ、忘れかけてたよ…。




京佑くんの後ろ姿が角を曲がって見えなくなるまで、私は門の前で見送っていた。