──ガタン、ゴトン。
「……」
揺れる電車の中で、ひたすら息を詰めている。
この時間は、帰宅ラッシュなのでした。
そりゃ、混んでるよね。
うう…。
近いよー…。
満員電車に空いた座席なんかなくて、ポールも掴めずドア付近でぎゅうぎゅう詰めになっております。
……京佑くんの胸に顔当たってるし、もう抱きしめられてるみたいな状態。
うわあん。
私も胸当たってるし…っ!
ていうかいつのまにか腰に手回されてる!?
本当、いつの間に…!
でも、これ京佑くんが前に立ってくれてなかったら、違う誰かとこういう密着状態にならなきゃなんなかったんだよね。
緊張はするけど、こっちのほうがまだいいかも…。
ついてきてくれて、ちょっと感謝。


