「綺深、早くしてよ」
すでに靴を履いた京佑くんが、ドアを開けてこちらを見ている。
「ダメよ京佑、好きな子にはもっと優しくしなきゃ」
「だだだから、そういうんじゃありませんて!!」
「いいから早く」
結月さんの誤解は100パーセント解けてないけど、京佑くんをこれ以上待たせたら機嫌を損ねてしまう。
私はいそいでローファーに足を突っ込んで、京佑くんのところに駆け寄った。
「あの、お邪魔しました!今日もお菓子美味しかったです!」
勢いよく、頭を下げる。
「うふふ、また来てね」
ニコニコ笑いながら、結月さんは手を振って見送ってくれた。


