ぎゃあぎゃあ言い合っているうちに、玄関に到着。
騒がしさに気付いたのだろう、京佑くんのお母さんが居間から出てきた。
「綺深ちゃん、帰るの?…って、あら」
ふいに表情を綻ばせた京佑くん母。
…え?
お母さんの視線を辿ると、京佑くんに掴まれた手。
いや、正しくは、繋がれた、手。
「やっ!あの、これはっ!!」
ばっ、と手を振りほどく。
「照れなくてもいいのよ!やだ、京佑、言ってくれたらよかったのに」
「綺深送ってくるから」
「うふふ、遅くなっても怒らないけど、ちゃんと送り届けるのよ?」
「ななな何言ってるんですかっ!?」
「綺深ちゃん、送りオオカミには気を付けて?」
それは母親のセリフではないのでは!?
「そ、そういうんじゃないので!!」
「あら、照れちゃって可愛い。綺深ちゃんになら京佑のこと安心して任せられるもの。嬉しいわー!あ、私のことは結月ちゃんって呼んでね」
ゆ、結月ちゃん!?
「あ、それは嬉しいので次からはそう呼ばせて貰いますね…。いやあのでも決してそのような仲ではございませんので」


