「冗談でしょ?」
「なんで冗談言わなきゃなんないわけ」
「だ、って…」
今まで、そんなことしなかったじゃん。
今日より帰りが遅くなることなんてざらにあったけど。
帰りまではゲームに含まれてません、そんな感じで。
……そんな、優しい顔で私のこと待ってくれるなんて、なかったじゃん…。
「鈍くさいなー。早く立ちなよ」
差し出された手につかまって立ち上がり、床に無造作に落ちていた鞄を拾った。
頭がついていかない。
口調はいつもと同じなのに。
なんか、ちょっとだけ、優しくない?
「…京佑くん、本当にどうしたの?今日ちょっと変じゃない?」
「変?どこが」
「…手を差し出してくるなんて、優しい」
「俺はいつでも優しいでしょ?」
ここは突っ込まないでおこう。
めんどくさいから。
「いつもなら、送る、なんて言わないじゃん」


