「……」


や、やばい、拒絶しすぎた?


もっとさらっとかわすべきだった?


でもでも、あんな近距離で会話する必要ないよね!?


うわーっ、どうするのが正解だったの?


とりあえず、嘘吐いたのばれた?



「……そっか」


「……え」


しかし京佑くんの口から発せられたのが、私の想像していたような言葉ではなかったことに驚いて、私は思わず背けていた顔を正面に戻した。


「そうだよね、もしヒロがなにか企んでたとしても、それを君に打ち明けてないかもしれないよね。……共犯の線しか考えてなかった。ごめんね、手荒なことして」


京佑くんはそう言って困ったように笑った。


「…あ、いえ。別に…」


京佑くんが困った顔をすることにちょっぴり罪悪感を覚えつつ、しかし、共犯の線で合ってます、なんて言えるはずもなくて、私はそう言った。


「俺の言ったことは気にしないで。忘れて。……手首、大丈夫?俺結構強くつかんじゃったよね…」


しゅん、と申し訳なさそうに目線を下げて私の手を見てくる京佑くん。


そんな顔をされると私の方が申し訳なくなってくる。


「だ、大丈夫だよ?全然痛くなかったしっ!」


「本当に?」


私はぶんぶんと首を縦に振った。


むしろ痛むのは良心です…。


「そっか…。ほんと、ごめんね」


「ううんっ!……あの、じゃあ私はこれで」


私は京佑くんの返事も聞かずに身体の向きを変え、ドアを開けて飛び出すように部屋から出た。

そしてそのままの勢いでノックもせずにドアを開け、嘉乃の部屋に飛び込む。