「綺深、そこ違う」
「え。どこ?」
どうも。
こちら嘉乃宅です。
ていうか京佑くんの部屋です。
「公式、そこはこっちでしょ?」
「あ、そっか」
私は慌てて消しゴムを手に取った。
────LHRが終わった後。
あれが今日最後の授業だったため、そのまま帰りのSHR。
それが終わって、学校を出てすぐ諒兄に会いに行くという嘉乃と別れ、何気なくケータイを見ると、京佑くんからメールがきていた。
『今から家来て』
という、いつもどおりなんとも簡潔なメールが。
京佑くんが、好きだ。
そう気付いただけで。
今までなんとも思ってなかったのに、受信メールに京佑くんの名前があるだけでむずがゆい気持ちになるくらい、嬉しくて。
なんだか、自分で自分が恥ずかしかった。


