それに。


……さっきまでは、冷たい手だなって、思ってたのに。


今はその手を温かいとさえ感じるのは、もしかして自分の熱が移ってしまったのだろうか。





いつもは画面ばかりでこちらなど見向きもしない諒太郎の瞳。


だけど今、その瞳に映っているのは紛れもなく、自分だ。





……どうして。


どうして、こんなにも惹きこまれてしまいそうだと思うんだろう。






この、まっすぐな瞳に。




自分を見てくれることが嬉しい半面、気恥ずかしくもあって。




嘉乃は、自分でも処理しきれない感情に戸惑った。